盲目の天使
兄上も、穏やかな顔をしている・・・。
アルシオンは、中庭で見たのとは別人のような顔で、
リリティスに笑いかけている兄を見て、切ない気持ちになった。
やはり、あの二人は愛し合っているのだ。
認めたくはないが、カルレインに寄り添うリリティスの姿は、とても自然に見える。
あの隣にいるのが、自分なら。
自分とカルレインの、どこがどう違うというのか。
自分の方が、リリティスを大切にし、幸せに出来そうに思えるのに。
・・兄上さえ、いなければ。
一瞬、よぎった、後ろ暗い考えに、アルシオンは、慌てて首を振った。
自分の中に、こんなにも、薄汚れた感情が眠っているなんて、思いも寄らぬことだった。
ふと、醜く歪む、母の顔が、視界に入る。
その視線は、どうやら、自分と同じ人物に向けられているらしい。
自分もこんな風に、酷く醜い顔をしているのかと思うと、
アルシオンは、心底ぞっとした。
自分は、母親に似ているのだろうか。