盲目の天使
王の様子を見ていたソレイユは、すぐに王の考えを察した。
自分の息子といい、夫といい、なぜあの小娘ばかりが、男の気をひくのか。
少し腹が立つものの、これはいい機会なのだと思い直した。
宴が中盤にさしかかった頃、ソレイユが王に耳打ちした。
「プロン王。
あのカナンの王女の処分について、そろそろ皆に伝えてはいかがですか?」
「おお、そうだな。宴が楽しくて、そのことを忘れていた」
プロンが立ち上がると、皆がしんと静まった。
「皆に伝えておくことがある。カルレインへの褒美についてのことだ」
プロンは、カルレインの希望通り、リリティスを彼の褒美とすることに決めていた。
妃につけたところで、他にもっとよい縁談があれば、
カナンの人間ということを盾にして、いつでも追い落とせばよいことだ。
カルレインも男。
そのうち、気が変わり、こんな女一人では、満足できないようになるだろう。
プロンは、とりあえずは、カルレインの希望に沿ったほうが、
皆が納得すると考えた。