盲目の天使
「カルレイン様。王のおっしゃるとおりにいたします」
リリティスは、小さな声でカルレインを制すると、杖をにぎって王の前に進み出た。
「ノルバス国王様。
目が見えないので、うまくお酒が注げるかわかりませんが、
私にお酌をさせてくださいませ」
王の前に膝をついて、リリティスは頭を下げた。
リリティスの従順な態度に、プロンは悪い気がせず、自分のすぐ隣に座るよう促した。
反対側には、王妃ソレイユが王にべったりと寄り添って、
リリティスにきついまなざしを向けている。
だが、目の見えないリリティスに、そんなことが分かるわけもなく、
ゆっくりとプロンの隣に腰を下ろした。