盲目の天使

「カルレイン様。王のおっしゃるとおりにいたします」


リリティスは、小さな声でカルレインを制すると、杖をにぎって王の前に進み出た。


「ノルバス国王様。

目が見えないので、うまくお酒が注げるかわかりませんが、

私にお酌をさせてくださいませ」


王の前に膝をついて、リリティスは頭を下げた。


リリティスの従順な態度に、プロンは悪い気がせず、自分のすぐ隣に座るよう促した。


反対側には、王妃ソレイユが王にべったりと寄り添って、

リリティスにきついまなざしを向けている。


だが、目の見えないリリティスに、そんなことが分かるわけもなく、

ゆっくりとプロンの隣に腰を下ろした。




< 262 / 486 >

この作品をシェア

pagetop