盲目の天使

リリティスは、プロンに触れられて、小刻みに肩を震わせていた。


自分がうまくやらなければ、カナンのことだけでなく、カルレインの立場までまずくなってしまう。


まさかカルレインが、自分を愛しているなどと、公言すると思っていなかったリリティスは、

彼の強い想いを改めて知り、自分もそれに応えようと、必死だった。


リリティスの震えを感じて、プロンは、自分の隣で酌をしているリリティスを、改めて眺めた。

閉じた瞳は、長いまつげで覆われ、透き通るような肌が、ほんのりと色づいている。



なるほど。

庇護欲をそそられる。

いや、加虐心をかきたてられる、か?



プロンは、酒を注ぎ終わったリリティスの手を離さず、自分の方へと引き寄せた。






< 265 / 486 >

この作品をシェア

pagetop