盲目の天使

王の毒見役は、少しの間苦しんで、そのまま絶命した。


「これは・・・毒ですな」


口から血と泡を吐いて、倒れている男。

男を見た医師は、毒見役が飲んだ杯に、鼻を近づけて断言した。


「この杯の酒は誰が?」


医師の言葉に、皆が一斉に、リリティスに視線を注ぐ。


「このカナンの王女め!

そなた、ノルバス王の御慈悲で生きておるというのに、国の敵をとろうとしたのか!」


ソレイユは、王の隣にいるリリティスの肩を、思い切り突き飛ばした。


王の酔いはすっかり醒めて、リリティスを、冷たい瞳で見下ろす。



この王女が、ノルバス国王である私を、殺そうとした、だと・・・?



この怯えた様子が、演技だというなら、相当の女だ。

プロンは、値踏みするように、リリティスを見下ろした。







< 268 / 486 >

この作品をシェア

pagetop