盲目の天使
王の毒見役は、少しの間苦しんで、そのまま絶命した。
「これは・・・毒ですな」
口から血と泡を吐いて、倒れている男。
男を見た医師は、毒見役が飲んだ杯に、鼻を近づけて断言した。
「この杯の酒は誰が?」
医師の言葉に、皆が一斉に、リリティスに視線を注ぐ。
「このカナンの王女め!
そなた、ノルバス王の御慈悲で生きておるというのに、国の敵をとろうとしたのか!」
ソレイユは、王の隣にいるリリティスの肩を、思い切り突き飛ばした。
王の酔いはすっかり醒めて、リリティスを、冷たい瞳で見下ろす。
この王女が、ノルバス国王である私を、殺そうとした、だと・・・?
この怯えた様子が、演技だというなら、相当の女だ。
プロンは、値踏みするように、リリティスを見下ろした。