盲目の天使
「カルレイン。
貴様、この私にはむかうなら、いかに王子といえど許すことはできんぞ」
王は、あくまでカルレインが逆らうなら、処断しても良いと思った。
跡継ぎは一人いれば十分だ。
アルシオンは、王としての才能はないが、自分の引き立て役としては、適任だ。
カルレインの態度が鼻についていた王は、
この際、カルレインの鼻っ柱を折ってしまおうかと思案した。
「カルレイン様。どうか、王に逆らうのはおやめください。
私は大丈夫です。
調べていただけば、犯人でないことは、すぐに分かりますから」
カルレインだけは、何があっても、巻き込んではいけない。
もはや、カナンのためでも、カルレインのためでもなく、
リリティスは、自分自身のために、カルレインを失いたくは、なかった。
・・お願いです、カルレイン様。
リリティスは、興奮するカルレインをなだめるように、そっと掌に触れる。
暖かい、掌。
リリティスの心に、直接、触れているような気がして、
カルレインは、怒気が薄れた。