盲目の天使
そうよ、もしかしたら、私を殺すつもりだったのかもしれない。
実際、カルレインが買った後、首飾りは、自分や侍女以外の誰の手にも渡っていない。
本当に毒が入っていたのだとしたら、買ったときから入っていたとしか、
リリティスには、考えられなかった。
プロンも、今は、冷静だった。
酒の席では酔いもあり、興奮してリリティスを捕らえたものの、
よくよく考えれば、目の見えないリリティスが、
自分の目を盗んで毒を入れるなど、不可能に近かった。
しかも、チトの実は、この国では有名な毒だが、
カナン国の王女が、それを手に入れることなど、そうそうできはしない。
プロンは、リリティスが、誰かに、はめられたのだと思っていた。