盲目の天使

月が雲間から顔を出し、リリティスの顔を、ゆっくりと照らす。

唇をかみしめ、涙を堪えているその様子に、プロンは薄く笑った。



誰の罠かは知らぬが、捕らえられたウサギは、かわいいものよ。



プロンは、リリティスの震える肩を抱き寄せると、

そっと耳打ちした。



「リリティス王女。

このままでは、そなたは、私を殺そうとした罪で処刑される。


そうすれば、カナン国は、私に反逆を企てたとして、

徹底的に蹂躙されることになろう」


プロンの言葉に、リリティスは顔色を変え、

見た目にも分かるほど、大きく震えだした。




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