盲目の天使
リリティスの涙が、とめどなくあふれていた頃、
マーズレンは牢に、母への差し入れを届けていた。
長い間、カルレインに仕え、乳母としての地位があったオルメは、
息子との面会も、わずかながら許されていた。
「母上、大丈夫ですか?」
「マーズレン。私のことはいいから。
王子はどうなさっているの?」
オルメは、今にも倒れそうな顔色の悪さだ。
しかし、マーズレンは、気丈な母が心配されるのを嫌うことをよく分かっていた。
「カルレイン様は、リリティス様の無実を証明するために、
毎日、走り回っていらっしゃいます」
「そう。無理をなさらないといいのだけど・・」
オルメは、カルレインがとんでもない無茶をするのではないかと、ひどく不安だった。