盲目の天使

「母上、もう一度お尋ねします。

リリティス様の首飾りに、本当に、誰も触っていないのですか?」


「ええ、間違いないわ。

何度も思い返してみたけど、あの日は朝から皆、城にはいなかったのよ。


お二人は一緒に町へ出かけて、首飾りを買われてきた。

リリティス様は、宴用の衣装に着替え、首飾りをお付けになった。


その間、たいした時間はないし、誰も触っていないわ。

着替えのときに、私とルシルが触れたくらいで」


「そうですか」


マーズレンは、肩を落とした。

リリティスの無実が証明されれば、母もルシルも解放される。

だが、そうすると、代わりに牢へ入るのは、カルレインになりそうだ。


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