盲目の天使

首飾りを買ったのは、カルレインだ。

重臣の中には、リリティスが、一人では王を殺害できないと、

黒幕を探すよう提案したものもいるという。


ただでさえ、カルレインは、リリティスを愛してるなどと宣言した後で、立場が悪い。

皆が、リリティスの裏には、カルレインがいると疑うのも、無理ないことだった。



いっそ、リリティス様一人のせいになってくれれば・・。



マーズレンは、一瞬よぎった後ろ暗い考えに、懸命に首を振った。



何を考えているんだ!

あんなにも仲の良いお二人を、引き離すようなことを考えるなんて!



マーズレンは、なんとしても真犯人をつきとめて、ここから出しますから、

と母に告げて、立ち去った。



ルシル・・君も、きっと助け出すから。



マーズレンは、頭上にこうこうと輝く月に向かって、誓いを立てた。


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