盲目の天使

王妃ソレイユの豪奢な部屋には、主の高笑いが、響いていた。

侍女を全て下がらせ、

自分ひとりで、酒盃を傾けていた。



まさか、こんなにうまくいくとは。



ソレイユは、笑いを堪えきれず、上機嫌で酒をあおった。


「ずいぶんと上機嫌ですね、母上」


いつもは、呼ばなくては部屋に姿を見せない息子が現れ、

ソレイユは、ますます機嫌よく笑った。


「おぉ、シオンか。どうだ、一緒に飲まぬか?」


手にした杯を高々と持ち上げると、腕につけた沢山の飾りが、ガシャガシャと音を立てた。


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