盲目の天使
『カルレインの命令で、私に毒を盛ったと証言するがいい。
そうすれば、あとのことは、私がいいようにしてやろう。
もちろん、そなたの命も助けてやる。侍女の命も。
カナン国の、大勢の民の命もな』
自分の掌に重ねてきた、プロンのいやらしい手の感触を思い出して、
リリティスは、両手で顔を覆った。
王は、あれから何度か、リリティスに会いにきた。
ゆっくり考えろといいつつ、
毎回いやらしく自分に触れては、脅しの言葉を投げかける。
カルレイン様に、罪を着せることなんて、できない!
でも、そうしなければ、カナンの民はどうなるの?
リリティスは、もはやぎりぎりのところで、精神を保っていた。