盲目の天使

「コウガイ将軍!私を助けなさい!

恐れ多くも、カルレインが王を弑し、私をも殺害しようと企てたのです!」


ソレイユは、カルレインを指差して、か弱い女を演じる。

どうやら、ここが正念場だ。

ソレイユは、額に汗をにじませた。


コウガイは、ゆっくりと王に近づいて、念のために脈をとったが、やはり死んでいた。

胸元には、細い短剣が埋まっていて、一瞬で死んだのだろうと、一目で分かる。


その短剣は、カルレインの物にしては、やけに小さく思えた。

そう。まるで、女が、護身用に持ち歩くような小ささ。

しかも、床にはもう一本、別の短剣が転がっている。



「リリティス、死ぬな!」


カルレインは、周りの状況などそっちのけで、

リリティスに、はりついている。


そばの水差しから、水を飲ませようと、必死だ。



カルレイン様が、王を、殺したのか?

だが、

なぜ王妃が、こんな場所にいる?







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