盲目の天使
夕飯は、ノルバス国の郷土料理が山ほど並べられ、
カルレインは、オルメとルシル、それにマーズレンも同席させた。
本来、王族でもない二人が、食事に同席するなど、ほとんどないことだったが、
カルレインは、今日だけは、皆で食事を囲みたかった。
オルメの、ためにも。
「リリティス。俺が、食べさせてやろうか?」
カルレインが、隣に座るリリティスの口元に、食事を運ぶと、
リリティスは、一瞬驚いたようにカルレインを見たが、
すぐに頬を桃色に染めて、うつむいた。
「カルレイン様!」
オルメの、叱責が飛ぶ。
「冗談だ」
オルメに叱られるのをわかってはいるが、
カルレインは、リリティスををからかうのが、楽しくて仕方がない。