盲目の天使

オルメには聞こえないよう、リリティスの耳元に、そっと囁いた。


「二人きりになったら、口移しで、酒を飲ませてやるぞ」


カルレインの言葉に、リリティスは、ますます頬を赤らめて、顔を上げることができない。



もう、カルレイン様ったら、こんな大勢の前で。



そんなリリティスが、可愛くて仕方のないというカルレインの様子に、

オルメは、それ以上、何も言わなかった。



あんな大変なことがあった後なのだから、少しは、大目にみましょう。

お二人が、幸せになってくだされば良いのだけど・・・。



明日になれば、自分の育てた王子と、自分の産んだ息子が、旅に出てしまう。

オルメは、子供が独立したときに母親が持つ、孤独な感情を抱えて、ため息をついた。










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