盲目の天使
カルレインの言葉で、落ち着きを取り戻したリリティスは、
二人の近すぎる距離が、急に恥ずかしくなった。
「隣に・・、座ってもいいですか?」
カルレインがリリティスを膝から下ろし、隣に座らせると、涙の後が残る瞳を、向けてくる。
「どうやって、出会ったのですか?」
それは、リリティスが一番聞きたかったことであり、
カルレインが、一番聞かれたくなかったことだった。
正直に、話すしか、手はない。
リリティスの前では、常に誠実でありたかった。
「父の命令で、カナン国に攻撃を仕掛けたのは、この俺だ。
もともと武力の差があったので、決着はあっけなくつき、
カナンの城にいたものは皆、逃げて、空っぽになった」
カルレインは、両手を体の後ろについて、空を見上げた。
心が洗われるほどの、圧倒的な、星ぼしのきらめき。
こんなにも多くの、星が見えるなんて、カナンは、やはり素晴らしい国だ。
そう考えてから、そうではないと気づく。
星は、いつだって、そこにある。
ただ、自分は、自分で、自分の目を塞いでいただけだ。
小さなものや、弱いものを切り捨てるように、無意味な存在価値のないものとして。