盲目の天使
リリティスは、カルレインの言葉を決して聞き漏らすまいと、真剣な表情を浮かべる。
「俺が、城の中をうろついていると、女の声が聞こえてきた。
誰もいないはずなのに、おかしいと思って、部屋を探すと・・、
そこに、リリティスがいたんだ」
まるで、昨日のことのように、はっきりと思い出す。
落とした杖を拾おうと、床にかがんでいた、美しい少女。
流れる銀髪に、目を奪われた。
「皆、私を置いて、逃げ出したのですね」
自分の立場は、理解していたつもりだ。
リリティスは、カルレインの言葉が、嘘ではないと感じた。
「俺は、そこでお前を脅迫した。
・・・・・・俺のものにならなければ、
カナン国に、火を放つと」
リリティスが、息を呑むのが分かった。
とても目をあわせられなくて、カルレインは、リリティスと反対の方向を向いた。
「他に聞きたいことは?」