盲目の天使
「では、今は?
今は、どうなのですか?」
「今?」
「どうして私を、再びカナンへ連れてきたのですか?」
自分を傀儡にするだけにしては、丁寧に扱われすぎている気がした。
時々、心が通い合っているような幸せも感じる。
それとも、自分が、そう思いたいだけなのだろうか。
淡い期待を抱いた自分が、間違っていたのか。
リリティスは、すぐ隣にいるカルレインが、酷く遠い場所に行ってしまった気がした。
「お前が療養するには、カナンの方がいいと思ったんだ。
それに・・・お前に俺との事を思い出してほしくて・・・。
だが、よく考えれば、思い出さないほうがいいのかもしれない。
お前にとっては、辛い記憶もあるしな。
・・だから、忘れてしまったんだろう」
一番、言われたくない言葉だった。
・・思い出せないのは、やはり、私が悪いのかしら?
けれど。