盲目の天使
「思い出してほしいのは・・、なぜですか?」
リリティスは、カルレインから、自分の満足できる答えを、もらっていない気がした。
今、聞いておかないと、自分は一生後悔する。
なぜか、直感的にそう思った。
たとえ、それが、自分の希望的観測にすぎなくても。
「それは・・・」
「私を脅迫した時のことを、思い出させたいのですか?」
「違う!!」
カルレインは、思わず横に向き直って、リリティスを見た。
リリティスは、泣きそうな瞳で、自分を見上げている。
カルレインは、観念してリリティスの瞳を見つめた。
「俺が、思い出してほしかったのは・・・、
お前が、俺を愛していたことだ」
「私が?」
「そうだ」
カルレインの暗い瞳は、悲しみを内包しているように思える。
自分の顔が、映りこんでいる、ひたむきな、二つの宝玉。