盲目の天使

リリティスは、目の前で起きた重要な出来事を、理解しきれないでいた。



・・え?

私が、なんですって?!



「ほら、リリティス様も立ち上がって!」


ルシルに抱き起こされて、リリティスは、よろよろと立ち上がる。


周りの視線が、自分に集中しているのを肌で感じて、

やっと、リリティスの頭の中の霧が晴れた。


「カ、カルレイン様っ!」


リリティスは、カルレインの衣の袖を引っ張り、

そんなことは無理だとばかりに、目で助けを求める。


だが、カルレインは、それこそ自分の思い通りの展開に、楽しくて堪らない。


「俺にきちんと返事をしてくれると、

さっき、言っただろう?」


やんちゃな瞳で返された。



< 438 / 486 >

この作品をシェア

pagetop