盲目の天使

このままやむかと思われた雨は、本降りになって降り続いている。

カルレインは、気絶したリリティスを抱き上げ、雨をしのげる場所を探していた。



くそっ!

かなり下流に流されたな。



なんとかリリティスの体に手が届いたカルレインは、

川の途中にある大きな岩に、必死でしがみついた。


想像以上の流れの速さで、カルレインでさえ、

気を抜けば、そのまま流されていきそうだった。


すでに、リリティスは気を失っており、

カルレインは、その小さな体を肩に抱きかかえ、なんとか岸にたどり着いたのだった。


「リリティス!リリティス!」


カルレインは、突き出た岩が屋根のようになって、雨があたらない場所を見つけると、

その下にリリティスを寝かせ、頬を軽く叩いて、肩を抱き起こした。



頼む!目を開けてくれ!



記憶を取り戻してほしいなど、やはり、贅沢な望みだ。

ここに、こうして生きていることこそが、なによりも幸せなことなのだから。











< 446 / 486 >

この作品をシェア

pagetop