盲目の天使
毒を飲んで倒れたときのことを思い出し、緊張が、カルレインの体を支配していた。
「リリティス!!!」
少し強めに頬を叩くと、リリティスの白い肌の上に、赤いあとが残る。
「ん・・うっ・・」
頬が、痛い。
目を開いたリリティスは、自分を見下ろしている、黒い瞳と目が合った。
不安げに自分を見つめる、その瞳。
・・自分の大好きな、やさしい、やさしい、そのまなざし。
「カルレイン様・・?」
その言葉に、緊張から開放されたカルレインは、長い息を吐いた。
「まったくお前はっ!!」
カルレインの怒鳴り声に、叩かれるのかと、ぎゅっと目を閉じたリリティスは、
首筋に熱い息を感じて、ぞくりとした。
カルレインの両腕は、リリティスをきつく拘束して、その体は、小刻みに震えている。
・・暖かい。
こんなにも暖かい腕を、自分は他に知らない。
リリティスは、そっと瞼を下ろした。
濡れてしまったまつげが、きらきらと光っている。