盲目の天使
「まったく・・・。
俺を殺す気か・・」
「・・・・ごめんなさい」
カルレインの体を通して感じる気持ちが嬉しくて、リリティスは、素直に謝った。
自分の両腕をカルレインの背中に回して、すがりつく。
雨音がしているはずなのに、ひどく静寂な空気に包まれて、
リリティスの心は、落ちつきを取り戻した。
が、次の瞬間。
「はっ・・くしゅん!」
全身が濡れて、体温を奪い始めている。
急に背筋に寒気が走り、体が震え始めると、それをとめることはできない。
「あたためなければ、まずいな」
カルレインは、何かないかと周囲を見渡したが、
あるのは、木と草と石くらいだ。
雨に濡れた場所で、何もないところから火をおこすのは至難の業だ。