盲目の天使
特に、他意があって言った言葉ではなかったが。
「え?脱ぐって・・・、まさか?」
カルレインの裸でさえ、目のやり場に困って、真っ赤になったリリティスは、
自分も、同じように裸になれと言われて、困惑した。
「い、いえ・・・。私は大丈夫です・・」
後ろを向いて、衣のあわせをぎゅっと握ると、
後ろから、カルレインの温かな腕に包まれた。
・・風邪をひくから脱げとっても、素直に脱がないのだろうな。
カルレインは、どうすれば、リリティスが自分の言うことに従うのか、知っている。
「お前は、このまま俺に風邪をひけと?」
「そ、そんなこと言ってません」
「だが、実際そうなる。
俺は、お前を助けたせいで、見事に病にかかるというわけだ」
「そんな!」
リリティスは、涙を浮かべて反論しようとしたが、
寒さに体が震え、歯がカチカチと音を立てたので、
それ以上言葉を続けることが、できない。
カルレインを病にしたいなど、そんな事をもちろん思うはずがない。
けれど・・・。
ためらう、リリティスに、カルレインは、追い討ちをかける。