盲目の天使

特に、他意があって言った言葉ではなかったが。


「え?脱ぐって・・・、まさか?」


カルレインの裸でさえ、目のやり場に困って、真っ赤になったリリティスは、

自分も、同じように裸になれと言われて、困惑した。


「い、いえ・・・。私は大丈夫です・・」


後ろを向いて、衣のあわせをぎゅっと握ると、

後ろから、カルレインの温かな腕に包まれた。



・・風邪をひくから脱げとっても、素直に脱がないのだろうな。



カルレインは、どうすれば、リリティスが自分の言うことに従うのか、知っている。


「お前は、このまま俺に風邪をひけと?」


「そ、そんなこと言ってません」


「だが、実際そうなる。

俺は、お前を助けたせいで、見事に病にかかるというわけだ」


「そんな!」


リリティスは、涙を浮かべて反論しようとしたが、

寒さに体が震え、歯がカチカチと音を立てたので、

それ以上言葉を続けることが、できない。


カルレインを病にしたいなど、そんな事をもちろん思うはずがない。

けれど・・・。


ためらう、リリティスに、カルレインは、追い討ちをかける。






< 450 / 486 >

この作品をシェア

pagetop