盲目の天使
「あ、あの・・・
皆のところへは、戻らないのですか?」
なんでもいいからと、口を開く。
後ろから、たくましい腕に、ふんわりと抱きしめられ、
胸が、いっそう激しく高鳴る。
それを悟られたくなくて、ごまかすように早口でまくしたてた。
「かなり流されたし、もうすぐ日が暮れる。
この雨では、森の中を歩き回って体力を消耗するより、天気の回復を待って動く方がいい。
心配しなくても大丈夫だ」
耳元で囁かれたカルレインの声は、落ち着いていた。
あたたかい・・・。
リリティスは、自分の背中に、カルレインの体の熱が伝わってくるのを感じて、ほっと息をついた。
本当に毎回、カルレインのたった一言に、心が、浮き沈みを繰りかえす。
このまま・・・。
時が止まればいいのに・・。