盲目の天使
一瞬、目線が重なったが、
間近にあるカルレインの顔に、リリティスは頬を赤らめて、すぐに目を逸らした。
「本当です。今度やってみせますわ!」
「子供の頃の話だろう?勘弁してくれよ」
リリティスのすねた様子があまりにもかわいくて、カルレインは、くすくすと笑い声をあげた。
今だって、カルレイン様に負けたりしませんわ、などといいながら、
リリティスは、頬を膨らませる。
「・・・いつも、一人で遊んでいたのか?」
ふと、リリティスが一人ぼっちだったのではないかと、カルレインは、思った。
城を攻めたとき、リリティスを守ろうとするものは、ただの一人もいなかったから。
「私の面倒を見てくれた農夫の家には、4人の子供がいて、よく皆で遊びましたわ。
でも、そう言えば・・・」
リリティスは、ついさっきまで自分が忘れていたことを、おぼろげに思い出し始めた。