盲目の天使
「いつだったか、一人で森を散歩していたら、不思議な人に出会ったんです」
「不思議な人?」
「えぇ。ぼろぼろの格好で、ひどい怪我をしていたんです。
盗賊かとも思ったのですが、泣きそうな瞳をしていて・・。
私、なんだかひどくかわいそうに思えて、
皆に内緒で、毎日食料を届けたんです」
微笑を浮かべて、リリティスの話を聞いていたカルレインは、
その瞬間、凍ったように表情が、動かなくなった。
・・今、なんと言った?
毎日、食料を運んだだと?
そんなことがありえるはずはない。
しかし、偶然にしては、あまりにも重なりすぎる体験に、
カルレインは、高まる興奮を、無理やり抑えこんだ。
・・ばかな。何を考えている?
俺が会ったのは、少年のはずだ。