盲目の天使
もっと詳しく聞けば、似たような別の話だとわかるはずだ。
そう思いながらも、カルレインは、心の奥底で、
それが、“そうなのだ”と理解している気もした。
「それは・・、いつのことだ?」
「えぇと、確か、私が7つか8つのときです」
・・ということは、8年前!ちょうど、俺がカナンを訪れた時期だ!
カルレインは、知らないうちに、リリティスを抱きしめる腕に、力がはいった。
「その男は・・・、どんな男だ?」
・・男の人だなんて、言ったかしら?
なんとなくカルレインの様子がおかしいような気もしたが、
リリティスは、かまわず続けた。
「どんなって言われても。
黒い髪に黒い目をしていて・・、
怪我をしているのに、人を呼ぶなって言われたんです。
毎日、いろいろ運んだけれど、いつの間にかいなくなってしまって。
当時は、すごく大人の人だと思ってたけど、今思うと、そうでもなかったのかもしれませんね」