盲目の天使
何をされたのかわからないリリティスは、
瞳を開いたまま、首を傾げてぽかんとしている。
「ルシル。着替えを持って、リリティスを水浴びさせて来い」
それだけ言うと、カルレインは、兵士たちに陣を作るよう、命じながら去っていった。
「ルシル?今、何が・・?」
そういう場面を見慣れていないルシルは、顔を真っ赤にして、答えに詰まる。
「え、えっと、その・・
カルレイン様が、姫様の額に、く、口付けをなさいました・・」
ルシルの言葉を噛み砕いて整理するのに、数拍。
リリティスは、ルシル以上に真っ赤な顔になり、俯いてしまった。
水浴びに行きましょう、というルシルの言葉にも返事ができず、
人形のように手を引かれ、湖まで連れてこられた。