盲目の天使
朝日が森を通してやさしく差し込むと、リリティスは、蒼い瞳をうっすらと開けて、
自分の隣に眠っているはずの、愛する男の姿を探した。
・・どこへ行かれたのかしら?
そっと床にしかれた葉に手をやると、まだ暖かい。
ほんの今しがた、出かけたばかりのようだ。
リリティスが上半身を起こすと、人の足音が聞こえてきた。
「起きたのか、リリティス」
カルレインは、長いつるのような植物を持ってきて、リリティスの口元に差し出す。
「上を向けば、水が飲める」
リリティスが、その植物をくわえると、少しずつ水が流れ出て、喉を潤した。
「はぁ、おいしい」
リリティスは飲み終わると、カルレインのほうを向いて、やさしく微笑んだ。
朝日を受けて、輝く銀糸の髪。
その美しい様は、本物の天使のようだ。
カルレインは、密かにそう思った。