盲目の天使
カルレインは、まだ濡れたままの衣をさっさと着て、こちらを笑いながら見下ろしている。
「ほら、俺が着せてやるよ」
リリティスの衣を手に、カルレインが近づいてきて、リリティスは、ますます動けなくなった。
「そこに、置いてください!」
リリティスは真っ赤に染まった頬で、カルレインを睨んだが、
その態度は、まったくの無意味どころか、
ますます、カルレインを楽しませるだけだった。
しばらく、そんなやり取りをしていると、遠くから、かすかに人の声が聞こえる。
「カルレイン様、誰かいます!」
つかの間、二人の間に緊張が、はしったが、それは、すぐに安堵の表情に変わった。
それは、二人を探す、マーズレンの声だった。