盲目の天使
「あぁ、良かった!
お二人とも、お怪我は、ありませんか?」
カルレインたち以上に、泣きそうな安堵の表情を浮かべ、マーズレンは、声をかける。
護衛隊長である責任以上に、二人のことが心配だった。
いつの間にか、リリティスのことも、大好きになっていたのだと、マーズレンは思った。
リリティスを犠牲にして、カルレインを守ろうと考えたことがあったなど、信じられない。
・・カルレイン様がついているから、大丈夫だと思ったけど。
一晩中、眠ることの出来なかったルシルも、悲しませずにすんだ。
「リリティスが、足に怪我をしているので、俺が抱いていく。道案内を頼む」
マーズレンは、2名の兵士とともに、二人を囲むと、先頭にたって歩き出した。
「あの、私は、怪我などしておりませんが」
どうしてそんな嘘をつくのか。
自分が歩くと、問題なことでもあるのだろうか。
リリティスが不思議そうに尋ねると、カルレインは、にっと笑って、リリティスの耳元で囁いた。
「濡れたままの衣が透けている。
兵士たちは喜ぶだろうが・・・。
俺は、自分の妻を他の男に見られたくないのでな。
それに、昨夜は無理をさせたから、体が辛いだろう?」
一瞬にして、体温が上昇するリリティスを見て、カルレインは、けらけらと笑った。