盲目の天使
野営地までもどると、半狂乱になったルシルが、泣きながら、リリティスにしがみついてきた。
リリティスの持っていた瓶が見つかり、二人が川に流されて溺れたのだろうと、心配していたのだ。
リリティスは、心からわび、自分を探してくれた兵士たち一人一人に、心からの礼を伝える。
そんなリリティスの態度に、兵士たちの忠誠心も、いっそうかきたてられた。
自分たちは、なんて素晴らしい主をもったのだろう。
それから、さらに2日間、馬車に揺られ、
カルレインたちは、無事にカナン城へたどり着いた。
カナン城の守護を任されていた兵士たちは、ノルバスからの知らせを受け、
一行の到着を、いまや遅しと待ち構えていたため、大歓迎を受けた。
もともとカナン侵攻の指揮を取っていたのは、カルレインであったため、
カナン国に残された兵士の大半は、カルレインに親愛の情を持っている。
リリティスは、約一年ぶりに、我が家への帰還を果たしたのだった--。