盲目の天使

その夜、一行は、久々に寝台の上でぐっすりと眠った。

しかし、カルレインだけは、カナンや自分たちの今後のことを考えて、眠れぬ夜を明かしていた。


リリティスと二人、カナン国でなくても、暮らしていくことはできる。

誰も知らない場所で、ただの男と女として暮らす方が、はるかに楽で、幸せな気がする。


しかし・・・。


カルレインは、カナンを占拠したときに感じていたのと同じ問題を、

ここに着くまでの道中でも、やはり感じていた。


初め、カルレインは、プロン王の命令で、カナンに侵攻した。

カナン国の位置的優位さと、豊富な農地に目をつけ。


しかし、例えノルバスが戦をしかけなくても、

時間がたてば、カナン国が衰退するだろうことは、農民の扱いを見れば、明らかだった。



・・・カナンは、農地改革をする必要がある。

小作人を解放し、一部の人間が搾取する方法を、改めなくてはならない。



人間は、自らの土地だと思えば、不作に苦しもうが、多少の問題がおきようが、

簡単に土地を捨てることは、できない。


それは、戦がおきた時にも、同じことが言える。

しかし、ただ雇われただけの農民には、土地に対する愛着がない。


カナンを捨てて、逃げ出した農民がどれくらいいるのか。




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