盲目の天使
それは、ノルバスが攻めてくるという噂話だけで、
あっというまに離散し、放棄された、多くの農地が物語っていることだった。
小作人が逃げ出した農地は、荒れ果てており、作物が収穫できるのは、だいぶ先になるだろう。
そのことを、アルシオンに進言することは、実に簡単だ。
だが・・・。
アルシオン一人にそれを任せて、自分は単なる傍観者になっても良いものか。
・・ユリウス王、あなたなら、どうなさいますか?
カルレインは、賢王として名高かったリリティスの父に、
生きて会いたかった、と強く思った。
旅の間中、ずっと考えていたことを、カルレインは、この夜も一晩中、悩み続けた。