盲目の天使
正妃や、義弟と折り合いが悪く、故郷を飛び出たときに、初めて訪れたカナン。
天使と出会ったカナン。
父王の命令で戦を仕掛けたカナン。
そして今、
愛するリリティスとともに、三度(みたび)訪れたカナン・・・。
カルレインは、自分の心の中にあるさまざまな思いをめぐらせて、
ついに、一つの結論に達した。
自分の心の中に、深く刻まれたその感情。
「ああ。
俺は、この国を愛している。
お前やノルバス国と同じように。
いや、ひょっとしたら、それ以上に!」
そう、俺は、カナン国を愛している。
カルレインは、
自分の想いを口にすると、それがゆるぎない真実であることに気がついた。