盲目の天使
カルレインは、リリティスを掴んでいた手を離すと、
腰を抱き寄せたまま、ゆっくりと頬を撫で、うつむいていたリリティスの顔を上げさせた。
「カルレイン様・・」
消え入りそうな声も、カルレインの喜びを増す材料にしかならない。
カルレインは、その愛らしい唇をゆっくりと親指のはらでなぞった。
その細い肩が、かわいそうなくらいに震えている。
そのまま唇を重ねようとして、躊躇った。
・・体ではなく、この娘の心がほしい。
かつて、女の心を求めたことなど、あったろうか。
それは、カルレインの体の中心から、じんわりと染み出すように湧いてきた、不思議な感情だった。
カルレインは、自分が羽織っていた衣を脱いで、リリティスの体に巻きつけると、
そのままリリティスの膝の下に手を入れて、横抱きにかかえ上げた。
「きゃあ~!」
突然、地面から足が離れ、不安定な姿勢になったリリティスは、壮大に悲鳴を上げた。