盲目の天使
さきほど、馬車の床にこぼした水は、ルシルが綺麗にふき取って、すっかり片付いている。
リリティスは、新しい服の布地の端から、指先を滑らせるように触ってみた。
できることは、なるべく自分でしたいというリリティスの希望で、
ルシルは、そばにいながらも、手を出さずに見守っている。
あら?この手触り・・。
リリティスは、袖を通そうとして、ふと手をとめた。
「ルシル?私、こんな服を持っていたかしら?」
着なれた服の、ごわごわとした手触りと違い、赤ん坊の肌のようになめらかな手触りがする。
それに、形も複雑で、どんな風に着ればよいのか、よくわからない。
「ああ、それは、カルレイン様がリリティス様のためにと、新しく購入されたものです」
「カルレイン様が・・」
「はい、上等の絹でできた、すばらしいものですわ。
美しい蒼い布地でできていて、姫様の蒼い瞳にきっと、よく映えますよ」
ルシルは目を細めて、うらやましそうに、眺めている。