盲目の天使

一緒に食事をしようと、誘いに来たはずなのに、

カルレインは、リリティスの、美しい装いを見て、言葉を忘れた。



・・なんて、愛らしい姿だ。



新しい服を着て、髪飾りをつけたと言っても、ノルバス国までの旅の途中だ。

王宮での酒宴の席のように、派手に着飾っているわけではない。


しかし、簡素な衣が、リリティスの清楚な雰囲気には、よく合っていて、

カルレインの心は、躍った。


「素晴らしく、似合っている」


馬車から降りるリリティスの手を取って、彼女にだけ聞こえるように、甘く囁く。


とたん、リリティスの耳までが、桃色に変化した。


それを確認して、カルレインは、一人満足そうに微笑む。


春の陽だまりの中で、そっと森の息吹を感じるように、

カルレインは、小さな幸福感に酔いしれた--。



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