盲目の天使
大広間には、大勢の臣下が並んでおり、カルレインの姿を見ると、皆、膝をおって、道をあけた。
その真ん中をリリティスの手を取り、カルレインは、堂々と歩く。
・・・震えているのか?
リリティスの緊張が、震える手から伝わってきて、カルレインはリリティスの耳元に唇を寄せて、誰にも聞こえないように小さく囁く。
「早くお前を俺のものにしないと不安だな。ここにいる男どもが、みな、鼻の下を伸ばして、お前に見とれている」
何度からかわれても、慣れることのできないリリティスは、カルレインの言葉に、あっさりと赤くなった。
カルレイン様ったら、こんなところで何てことをおっしゃるのかしら!
クスクス笑いながら、カルレインにぎゅっと手を握られると、がちがちに固まっていた自分の肩から、すっと力が抜ける。
もしかして、私を安心させようとして・・?