盲目の天使
『おお、なるほど!さすが、カルレイン様!』
『しかし、カナンの王女は目が見えないというではないか。そんな者を王子妃にするのか?』
『それもそうだ』
『しかし・・!』
大広間は、あっという間に、大勢の臣下たちの議論の声で埋め尽くされる。
「確かに、お前の言うとおりだ」
プロンの言葉に、広間が一瞬にして、水を打ったように静まり返った。
「しかし、お前が娶る必要など、どこにもあるまい?
臣下の誰かでも良いし、結婚しなくても、わが国に軟禁しているだけでもそれなりの効果が期待できよう」
「はい。ですから、褒美と申しました。私は、この姫が気に入ったのです。
私もすでに25歳。結婚を考えるには遅いくらいです。ぜひ私にお与えください」
カルレインは、大勢の臣下の前でプロンに頭を下げた。
・・・こんな小娘を、気に入っただと?
王がいぶかしむのも、無理ないことだった。
カルレインは、今までどんなに条件の良い娘との縁談であっても、全て断り続けていたからだ。