盲目の天使
プロンは、カルレインの隣に、控えめに立っているリリティスを眺めた。
確かに、綺麗な顔立ちをして入るが、色気も何もない、ただの小娘。
しかも、目が見えないという。
カルレインめ、何をたくらんでいる?
プロンは、頭の中を整理するように、しばらく目を閉じていたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「その娘を褒美として愛人にするのはかまわない。
必要なら、それなりの地位を与えても良い。
だが、目が見えない女を正妃とするのは、問題があろう。お前は、このノルバス国の第1王子だ。
その正妃ともなれば、皆に認められる、美しく聡明な女でなければなるまい」
プロンの言葉に、カルレインは、不服の表情を浮かべた。
「ですが・・・」
「まぁまぁ。カルレイン様は、遠征からお戻りで、疲れております。
その話は、後日また改めましてはいかがでしょう」
カルレインがなおも言い募ろうとすると、白いひげを生やした、威厳のある老人にさえぎられた。
「ロキ大臣の言う通りだな。その話は改めよう。
そうそう、1週間後、勝利を祝う宴席を設けるつもりだ。
それまで、ゆっくり休むがいい」