盲目の天使
月が冴え冴えと光り、遠くで獣の泣き声がこだましている。
リリティスは、自分に与えられた部屋の中で、ルシルが入れてくれた熱いお茶を飲んでいた。
『愛人にするのはかまわない。
だが、目が見えない女を正妃とするのは、問題があろう』
王に言われた言葉が、ずっと頭の中を反芻している。
「はぁ~、疲れたわ」
「本当に、今日は疲れましたわね」
ルシルの言葉にハッとする。
いけない、思わず口に出してしまったわ・・・。
カルレインと旅をしていた少し前までは、毎日がとても新鮮で楽しかった。
城に着いたとたんに、こんなにも不安が襲ってくる。
自分は、不安をごまかして考えないようにしていただけなのかもしれない。
改めて、捕虜であるという立場を自覚して、リリティスは、短く嘆息した。