盲目の天使
「リリティス、入るぞ」
『入るぞ』という断りの言葉は形だけのもので、許可の返事をする前に、
カルレインが部屋に姿を現した。
取り次ごうとした侍女たちが、カルレインの後ろから、小走りに追いかけてくる。
「お待ちください!こんな夜更けに、若い女性の部屋を訪れるとは!」
侍女頭のオルメが、カルレインの行動をたしなめる。
「妻になる女の部屋を訪れるのに、何の問題がある?」
他人の話に耳も貸さず、反省する様子もないカルレインに、
普通の侍女ならば、静かに、この場を去っただろうが・・・。
「あります!
このような振る舞いは、女性の方に非があるように受け止められるのですよ。
リリティス様が、部屋に男を連れ込んだと噂されたくないなら、
もっと慎重になさいませ!!」
両手を腰に当て、主を睨みつけるその迫力は、オルメならではのもの。
「ああ、わかったよ、オルメ。次から気をつける。
リリティスに大事な用があるんだ。人払いをしてくれ」
さすがのカルレインも、わずかではあるが、当初の勢いが弱まった。