盲目の天使
「でも、それではカルレイン様のお立場が・・・」
こんな夜中に、わざわざ部屋を訪れたのは、おそらく自分を気遣ってのことに違いない。
リリティスは、カルレインのその気持ちが、何よりも嬉しかった。
しかし、自分のせいで、カルレインの立場を悪くするのは、辛い。
甘えすぎている。
「お前は、余計なことを考えなくて良い」
リリティスが浮かない顔をしているからか、カルレインは、念を押すように付け加えた。
「でも・・」
素直に頷かないリリティスに、カルレインは、軽い苛立ちを覚える。
信用されていないのか、それとも、褒美などと言って、物扱いしたのを怒っているのか。
ひょっとすれば、自分の妻になることそのものに、嫌悪感を感じているのかもしれない。
「私は、カナンの民さえ辛い目にあわなければ、構いませんから」
リリティスにとっては、カルレインのためを思って言った、精一杯の言葉だった。
だが、カルレインには、自分を拒否する言葉に聞こえた。
・・やはり、俺が嫌なのか。