盲目の天使

リリティスが、突然大声を出したので、カルレインはあっけにとられた。

よく見ると、宝石のような美しい涙が、

リリティスの両目から、ぽたぽたとこぼれ落ちている。



・・・そんなこと、

カルレイン様を他の女性と共有するなんて、耐えられるわけがない。



だが、王女として生まれ育った彼女には、跡継ぎを残すために、

王となる者が、大勢の女性を妻にする義務があることも、よく分かっていた。


カナン国の王であったリリティスの父は、母以外の女性を娶らなかった。

そのため、リリティスに兄弟はなく、父亡き後、王位は叔父に渡ったのだった。


「リリティス・・」


包み込むようなカルレインの声が、ふってくる。


自分は、どうして、こんなにも、カルレインの言葉に、一喜一憂してしまうのだろう。

たった一言、自分の名前を呼ばれただけで、こんなにも、胸が熱くなるなんて。


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