盲目の天使
今のは・・・空耳か?
カルレインは、リリティスの蚊の鳴くような声を、聞き違いだと思った。
どう考えても、自分に都合のいい幻聴だ。
「今、なんと言った?」
カルレインの言葉に、リリティスは、徐々に赤くなり、うつむいた。
・・・私ったら、なんて事を!
カルレイン様がお困りになるわ。
唇から吐息が漏れるように、思わず、こぼしてしまった自分の気持ち。
相手の迷惑も考えず。
「い、いいえ、何も申しておりません!」
必死に取り繕うが、うわずった声はごまかしようがない。
カルレインは、リリティスとの距離を縮め、両肩に手を置いた。