盲目の天使
ただの聞き違いかもしれない。
だが、もしかしたら。
「今、俺を慕っていると・・好きだと、そう言ったのか?」
祈るような気持ちで、リリティスの一挙手一投足を、見逃すまいとする。
うつむいたまま、ますます赤くなるリリティスを見て、カルレインは確信した。
リリティスが、この俺を慕っていると。
慕っている、だと!
強引に腰をさらって、リリティスを引き寄せ、体を密着させた。
同時に、あっ、と小さい悲鳴があがる。
自分の人差し指にリリティスの顎を乗せて、ゆっくりうわむかせると、
親指を、リリティスの唇の間に挟むようにして、甘く囁いた。
「リリティス。もう一度言ってくれ。
俺が好きだと。この唇で・・」
色っぽい目で、リリティスを見つめるが、リリティスには、もちろん見えない。
もし、盲目でなかったとしても、彼女は、決してカルレインの様子を見ることはかなわなかっただろう。
リリティスは、それくらい、恥ずかしさに、ぎゅっと目を閉じていたから。