短い夏休み
「バカ丸出しだと?でも、俺、野球で食ってくつもりだから別に勉強できなくてもいいんだもーん」

将太があからさまに開き直る

「バカだと人生いろいろ損するんだよ!」

「…例えば?」

少し興味があるらしい

予想外の返答に少し戸惑った

「たっ例えば…要領悪い子を好きになっちゃったり?」

苦し紛れに言ってみた

「…お前もしかして妬いてる?」

言葉も出なかった

どうしたら私が妬いているという結論が出たのだろう

「要領悪い女が好きって言うのをそんなに気にしてたんだな」

深く読みすぎているのか浅すぎるのかはわからないが

すごい思考回路だと思った

「いや、それはさ…」

将太は私の話を遮った

「いいっていいって!わかってるから」

一つもわかっていない将太が照れながら言った

「そっかやっぱり奈緒は俺のこと…うわ!なんか照れてきた!ごめん先帰るわ!!!」

そういうと間髪入れずに走り去ってしまった

誤解を解けないまま取り残されてしまった

なんだか笑ってしまった

将太はいつもそうだ

自分でコレだ!と思いこむともう誰も止められない
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